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斉藤さん

 毎週は見ていないが、「斉藤さん」というテレビ番組が大好きだ。

 幼稚園に通う子供を持つ現代の母親の姿をうまく風刺しているからだ。就学してしまえば、母親同士のお付き合いは減るが、幼稚園というのは園へのお見送り、お迎えが必ずパックであるから、母親同士は嫌でも、顔を付き合わせるしかない。

 観月ありさ演じる斉藤さんは、正義感が強く、白黒をはっきりつける性格ゆえに、周囲の母親たちから疎んじられている。しかし、斉藤さんは、今の子供たちや社会を悪くしているは、大人のせいだと言い切っている。

 悪いことは悪いこと、いいことはいいこと。それを今の大人たちが曖昧にし、逃げているからこんな社会になったのだと、警告している。この言動を見ていて、私はスッキリし、カタルシスを味わう。

 私も二人の子供を育てた経験上、一番大嫌いで、ぞっとしたのがこの幼稚園の時代だった。斉藤さんは、園まで子供の送り迎えをしているが、家の子の通っていた幼稚園は送迎バスだった。

 園が定めて停留所に、園児と母親が集う。子供たちは、バスが来るまで、そのあたりでチラチラと遊んでいる。母親たちと言えば、世間話や幼稚園の先生のことや園で起きた出来事などを中心に井戸端会議に花を咲かせる。

 一見、平和に見えるようだが、私はここに集まる母親たちの会話が大嫌いだった。だが、、サービス精神旺盛な私は、そんなそぶりを露も見せず、その話題の中心人物、ドンになれるくらいのおしゃべり女だった。

 というのも、私はその頃、ガチガチの専業主婦で働いてもいなかったので、暇だったからだ。バス停に集まる母親たちのとの話が、当時の私の唯一のコミュニケーションだったとは言いたくないが、かなりのウエイトを占めていたのは事実だった。

 なぜ、私がそれほどこの送迎時間にリキ入れたかといえば、総て子供のためだった。今でこそ、ハチャメチャやりたい放題、言いたい放題、セックス、絶倫、フェラ、クンニ、A感覚とV感覚なんて、思いっきり平気で使っちゃって、それが、私のルーティンワードになりつつあるけど、30代の頃の母親の私はかなり抑えていた。

 繰り返すが、それも総て子供のためだった。子供というのは、母親が他の母親と仲良くして、他の母親から好かれているかどうかを察知する点においては、天才的能力を発揮するものなのだ。母親が人から好かれていて、人とのコミュニケーションが上手くできると、子供も安心して他の園児と仲良くなれるのだ。

 反面、母親が孤立すると、子供も孤立する。これはきっと今でも変わらないだろう。園児の幼稚園生活を明るくするか暗くするか、その運命を分かつのは、母親の人との付き合い方に頼る点が多大なのである。

 だから、私は忍の一文字で、他の母親たちと群れた。そこには軽薄な人の悪口やチョーつまんない話題が溢れていたが、「ま、これが現実ってもんでしょうね。」と達観して、幼稚園のお見送りが終わると、即行家に帰り、クリームの「ホワイトルーム」をガンガンかけまくって、狂ったように踊っていた。

 だから、クリームの曲を聴くと、なぜか、子供の幼稚園時代を思い出す。

 そんな屈折した母親が、私だけだったと思いたくない。あの送迎という社交の場を楽しんでやっている母親は実は少ないのではないだろうか。子供のためと、割り切ってやっている母親がほとんど、だと思う。ま、中には、子供の教育命だけの母親もいるのも事実だが…。

 結婚して子供ができるまで、この幼稚園送迎組の母親たちも、大会社に勤めて、最高のファッションで決め、西川史子のように年収4000万円の男をゲットするために、日々エステ通いをしていたかもしれない。キャリア組なら、女管理職を狙っていたかもしれない。

 しかし、現実は違っていた。子供を産んだ時から、女は変わるのである。子供を産んだ時から、女は母親という新種の生物に変わるのだ。私は子供産んだ時、痛烈にそう思った。女という自分が、肉体的にも精神的にも、自分のために生きる自分から、子供のために生きる自分に変化しているのを実感したからである。

 もし、独身の頃に、母親としては避けて通ることのできない、この幼稚園の送迎という任務が待っていたら、私は子供を産まなかったかもしれない。

 しかし、今思えば、それも年少さんから入園させてのわずか3年間の任務だったにすぎない。

 50過ぎて立派なオババになってしまい、毎年アホなことやって、アホなこと考えて、無駄に過ぎてしまう今の私の愚鈍な3年間を思えば、もしかしたら、あの時期こそ、自分を鍛えてくれる濃密で意義のある3年間だったのではないかと思うのだ。

 「斉藤さん」を見ていると、そんなことが思い出される。
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